第3章 地震に備える
発生時の対応(共通事項)
(1) 家での対応
(1) まず、身の安全を
 あわてず、机、テーブルなどの下にもぐるよう指示し、家族など他の支援者に居場所を知らせます。
 もぐる場所が無い場合やもぐることが困難な場合は、転倒しそうな家具類やガラス等から離れ、座布団、クッションなどで頭を守るよう指示します。
 建物の倒壊により閉じこめられたり、ケガをして動くことができない場合は、外の人に聞こえるように大声を出したり、物をたたいたり、携帯ブザーや笛で居場所を知らせ、助けを求めます。
 障害のある人だけが閉じこめられた場合などは、声をかけるなどにより居場所を確認し、周囲の人や自主防災組織に援助を求め、急いで救出を図ります。

(2) すばやく火の始末
 「火を消せ」と声を掛け合い、ガスレンジ、ファンヒーター、ストーブなど火の気のある器具を止めるなど火の始末を協力して行います。
 アイロン、ドライヤーなど熱を発する電気器具も火災の原因になりやすいので、コンセントを抜きます。
 ある程度、揺れがおさまるのを待ち、ガスの元栓を締め、電気のブレーカーを閉じます。(電気のブレーカーは、スイッチを下まで降ろすと閉じます。)
 協力して火の始末の安全確認をしましょう。
 ガス漏れの恐れがあるので、火の使用は控え、電気器具のスイッチ等には触らないようにします。(電気器具がショートした火花で引火する恐れがある。)
 もしガスの匂いがしたら、出入口や窓などを開けてガスを出すようにし、なるべく早く家の外に連れ出すか、誘導した後、隣近所に知らせます。

(3) 火が出たら、まず移動させて消火を
 火元から障害のある人などを遠ざけ、できる限り離れた場所に移動させます。
 隣近所に知らせ、互いに協力しながら初期消火と119番通報をします。
 隣近所の人は、障害のある人などや家族から依頼があったり、異常を発見した時は、すぐにかけつけて初期消火や避難誘導などに協力します。
 天井に火が移った場合は、消火をやめて、身を低くし、煙に巻かれないよう、障害のある人などと一緒にできるだけ早く避難します。
 隣近所の人は、障害のある人や家族などから依頼があったり、異常を発見したときは、すぐにかけつけて初期消火や避難誘導などに協力しましょう。

(4) 脱出口の確保
 出入口のドアをすぐに開け、開けたままにしておきます。
 出入口までの経路の安全性を確保しておきます。

(5) あわてて外にとび出さない
 家具、電化製品、割れたガラスなどの落下物に注意して、慎重に行動するよう指示したり、慎重に誘導します。
 まず、支援者が落ち着いて外の様子を確認してから、一緒に外に出ます。

(6) 避難に備える
 非常用持出袋、ヘルメット、懐中電灯、履物などを用意し、いつでも避難できるように障害のある人などや自分の身近におきます。
 防火性に優れ、行動しやすい長袖、長ズボン等に着替え、軍手や厚手の靴下、靴(靴底が厚く、はきなれたもの)を用意します。
 水道などが使用できれば、飲料水・生活用水をできるだけ溜めておきます。
 (容器やお風呂に水を溜め、フタをしておく。)

(2) 外出中の対応
(1) 道を歩いていたら
 かわらやガラスなどの落下があるので、建物の側には近づかないように声をかけたり、建物から遠ざけるよう誘導します。
 塀、自動販売機などは倒れる危険があるので、近づかないよう声をかけたり、離れるよう誘導します。
 落下物やガラスの破片に気をつけて、カバン等の持ち物で頭や首筋を守るよう声をかけたり、手持ちの物で守るよう手立てを講じます。(手首の血管を切るお それがあるので、手のひらを上に向けない。)

(2) ビルにいたら
 窓ガラスが割れたり、落下物が飛び込んでくることもありますので、窓には近寄らないように声をかけ、離れるよう誘導します。
 エレベーターの使用は避けたり、避けるよう声をかけます。
 もし、一緒に乗っていたら、状況を説明して全ての階のボタンを押し停止した階で降ります。途中で止まったら、非常用連絡電話などで外部と連絡を取り、障害のある人などが不安にならないよう連絡した旨を説明します。

(3) 劇場、ホール等にいたら
 いすの間などに身を隠し、カバンや衣類などで落下物から身を守るよう声をかけたり、守るよう手立てを講じます。(いすの間などに身を隠せない場合は、頭を下に身を屈めるか、固定した物を持たせるようにします。)
 館内放送や係員の指示に注意し、障害のある人などにも伝えて、指示等に従い一緒に避難します。
 停電しても誘導灯や非常照明は点灯しますので、あわてて出口に殺到せず、係員の指示に従って、あるいは声をかけたり、指示を動作で示し一緒に避難します。
 煙が出たことを知った時には、ハンカチやタオルで鼻と口をおおい、体を低くして這うように声をかけ、一緒に避難します。自分でできない人には、手持ちのハンカチなどで鼻と口をおおえるよう手立てを講じます。

(4) デパート等にいたら
 あわてて出口に殺到すると危険です。係員の指示に従って、あるいは指示に従うよう声をかけたり、指示を動作で示し、落ち着いて一緒に避難します。
 階段では将棋倒しの危険があるので、駆け下りないようにします。階段を利用できない人で他に手段が無い場合は、周囲の人に助けを求め、人混みを整理したうえで抱えて降ろします。
 停電しても誘導灯や非常照明は点灯しますので、あわてて出口に殺到せず、係員の指示に従って、あるいは声をかけたり、動作で示し一緒に避難します。
 ワゴンや陳列棚など、動きやすいものの側に身を寄せるのは危険ですので、その旨を声かけしたり、離れるよう誘導します。
 煙が出たことを知った時には、ハンカチやタオルで鼻と口をおおい、体を低くして這うように声をかけ、一緒に避難します。自分でできない人には、手持ちののハンカチなどで鼻と口をおおえるよう手立てを講じます。

(5) 地下街にいたら
 地下街は、耐震性を十分考慮して設計されていますので、地上の建物より揺れが少なく、比較的安全です。
 壁際に身を寄せ、落下物から身を守るよう声をかけたり、動作で示し、誘導します。
 停電になっても非常照明が点灯するまでむやみに動かず、係員の指示に従って、あるいは声をかけたり、指示を動作で示し一緒に避難します。
 煙が出たことを知った時には、ハンカチやタオルで鼻と口をおおい、体を低くして這うように声をかけ、一緒に避難します。自分でできない人には、手持ちのハンカチなどで鼻と口をおおえるよう手立てを講じます。

(6) 鉄道、バスなどに乗っていたら
 手すりやつり革、座席などにしっかりつかまり、姿勢を低くしたり、頭を下に身を屈めるよう声をかけたり、つかまらせたり、危険をできるだけ回避できる体勢にさせます。
 車内アナウンスや乗務員の指示に従って行動するよう声をかけたり、動作で示します。また、途中で止まっても、あわてて車外に飛び出さないように声をかけたり、飛び出さないよう制止します。
 ホームでは時刻表、掲示板、時計、蛍光灯などの落下物に注意し、ベンチの下に身を隠すよう声をかけたり、安全な場所に誘導します。

(7) 車を運転していたら
 ハンドルをしっかり握り、急ブレーキを避け、徐々に速度を落とします。
障害のある同乗者には、座席などにつかまり、頭を下に身を屈めるよう声をかけます。
 道路の左側に停車しエンジンを止めます。
 道路脇の駐車場、空き地があればそこに車を入れ、カーラジオで正確な情報を聞きます。(同乗者にも情報を伝えるようにします。)
 車から離れる場合は窓を閉め、キーをつけておきます。
 高速道路の場合はスピードが出ているので、後続車に追突されないよう、後方を確認後、停車します。車両火災や道路の異常が起きたら、障害のある同乗者を降ろし、できるだけ安全な場所に避難させてから、設置されている非常電話で連絡します。