第2章 災害の予防
 心構え
(1) 障害の種類や特徴を知る
 災害が発生した場合、障害がある人や何らかの支援が必要な高齢者は、情報の入手や自力での避難等が困難なため、災害弱者になりやすく、大きな被害を被る可能性があります。
 このため、障害のある人などが災害弱者とならないよう、防災関係機関だけでなく、隣近所や自主防災組織など地域の人々が積極的に支援する必要があります。
そのためには、まず、どのような障害があるのか、障害があるために災害時にはどのようなことが困難になるのかなど、障害の種類や特徴を知っておくことが大事です。
 このため、障害に関する書籍やビデオなどで自主勉強したり、地域で学習するようにします。また、障害者関係の団体や福祉施設、障害児教育諸学校などの行事や活動 などに積極的に参加し、交流を通じて学習することも大切です。

(2) 住んでいるところを知る
 障害のある人などと日常的に接していない支援者にとっては、どのような障害の人やどのような状態にある高齢者がどこに住んでいるかを知ることが第一です。
 防災対策は特定の支援者だけで全てできるものではなく、このため、障害のある人などの了解を得て、できる限り他の支援者と情報を共有化することが必要となります。
 また、障害のある人などの住んでいるところにどのような災害が発生しやすいか、災害時にどのような被害が起きやすいかなど、防災の点から改めて住んでいると ころを見直し、その特徴を知っておく必要があります。
 市町村の防災計画は、防災の面から地域の特徴をとらえてつくられていますので、見たり、教えてもらうようにします。

(3) 災害をイメージしてみる
 災害時、実際に身の回りにはどのようなことが起き、障害のある人などに何が起きるかを具体的に思い描いてみることが必要です。その際、いつ、どこで、何をしている時かなど、できるだけ色々な時間、多くの場所や場面を考えてみることです。
 その時、自分はどういう支援をしたらいいいか、どうしておけばいいかが判りやすいですし、判らない時も障害のある人や支援が必要な高齢者、障害や防災に詳しい人などに尋ねる時にも判りやすく説明できます。

(4) 障害や支援の内容を知る
 障害の状態は、例えば、下肢障害にしても、杖や車イスを使えば自分で移動できる方から自分では移動が困難な方まで様々ですし、2種類以上の障害のある人もいます。
 また、支援の必要な高齢者の心身の状態も、寝たきりから杖などで移動が可能な方、身体的に虚弱な方や老人性痴呆症のある方など様々です。
 災害時には、身近な障害のある人などに支援が必要になることが多くあります。
 このため、隣近所や地域の障害のある人などに、どのような障害や生活状態にあるか、そのため、どういう支援が必要かを正確に知っておくことが必要です。
 その際、知られたくないこともありますから、民生委員や福祉協力員など地域で福祉に関わっている人の協力を得て、障害のある人などの了解を求めることが必要です。

(5) 地域でネットワークをつくる
 障害のある人などにとって、災害も含めいざというときに頼りになるのが、向こう三軒両隣など身近な地域の人や自主防災組織です。地域の支援ネットワークは、災害時には即時の援助ができますし、声のかけ合い、助け合い、励まし合いなど心の通じた援助関係ができます。
 このように助け合える関係は、日頃のつき合いから始まります。
 常日頃から障害のある人などを見守り、ふれあいをもつように心がけ、いざというときには支援を依頼しやすい関係をつくっておきます。
 また、自主防災組織や隣近所の人などとも協力して災害時にはどのように支援するかなど役割や連絡先を決め、障害のある人などにも知らせておきます。

(6) 友人・知人などとネットワークをつくる
 障害のある人などにとって、自分の障害や心身の状態をよく判ってくれている支援者がいることは、いざという時に非常に心強いものです。地域でのネットワーク に加え、支援者となる友人や知人を多くつくり、普段からコミュニケーションを大切 にして、災害時の援助や協力を頼んでおくことが必要です。
 また、災害が発生した場合は防災機関などを含む障害のある人などの住んでいると ころの多くの人々が被災する可能性があります。その際には、被災地から離れたところからの援助が必要となります。このため、できる限り広い範囲で支援者となれる友 人や知人を増やして、ネットワークを広めておくことも大切です。

(7) 障害者関係団体とネットワークをつくる
 障害者のある人や高齢者でつくっている団体やグループなどには防災関係や支援者の情報が集まりますし、個人単位では声がとどきにくい要望や提案を集約し、行政に伝えることもできます。また、災害時には協力できる支援者となりますし、他の支援者とのつながりも団体などを通じてつくる機会がありますので、団体などとネットワークをつ くるのも大切なことです。

(8) 関係機関と連携する
 防災関係機関や医療機関などの災害時の役割や連絡方法などを事前に知っておく必要があります。どこの機関が何をするのかリストアップして、あらかじめ緊急連絡先一覧表を作っておくなど、スムーズに連絡を取れるようにしておくことが大切です。特に、障害のある人などの主治医やかかりつけの医療機関などと連絡がとれるようにしておきます。