第2章 災害の予防
1 心構え  
(1)災害の特徴を知る
 災害はいつ起こるかわかりません。万一、災害が発生した場合は防災機関等を含む地域の多くの人々が被災する可能性があります。その際には、周囲の人と協力して自分の身は自分で守るという「セルフディフェンス」の考え方が大切となります。
 そのためには、まず、どのような災害があるのか、災害の時にはどのようなことが起こるのかなど、災害の種類による特徴を知っておくことが大事です。
 このため、災害に関する書籍やビデオで自主勉強したり、県や市町村などで開催される防災に関する研修会や学習会などに積極的に参加するようにします。

(2)住んでいるところの特徴を知る
 どのような災害にも備えておくことは必要ですが、住んでいるところで起きやすい災害があれば、まず、その災害に備えておくことが第一です。
 このため、災害の特徴を知るとともに、自分の住んでいるところにどのような災害 が発生しやすいか、災害時にどのような被害が起きやすいかなど、防災の点から改めて住んでいるところを見直し、その特徴を知っておく必要があります。
 市町村の防災計画などは、防災の面から地域の特徴をとらえていますし、それに沿ってつくられていますので、市町村で見せてもらったり、教えてもらうようにします。また、地域の人に昔にあった災害の様子などを聞くことも参考になります。

(3)災害をイメージしてみる
 災害の一般的な特徴や住んでいるところの特徴を知るだけでなく、災害時、実際に自分の身の回りにはどのようなことが起き、自分の身に何が起きるかを具体的に思い描いてみることで必要です。その際、いつ、どこで、何をしている時かなど、できるだけ色々な時間、多くの場所や場面を考えてみることです。その時に、自分はどうしたらいいいか、どうしておけばいいかが判りやすいですし、自分で判らない時も防災機関など防災に詳しい人に尋ねる時にも判りやすく説明できます。

(4)障害や支援の内容を知っておいてもらう
 自分の身は自分で守ることを心掛け、常日頃から災害に備えていても、災害時にはどのようなことが起きるとも限りません。障害があることなどで周りで起こっていることが判らなかったり、避難の遅れなどで思わぬ被害を受けることもあります。
 災害時には、隣近所や地域の人の支援が必要になることが多くあります。
 このため、普段から隣近所や自主防災組織の人などに、自分がどのような障害や生活状態にあるか、そのため、どういう支援が必要かを正確に知っておいてもらうこと  が必要です。
 その際には、民生委員や福祉協力員など地域で福祉に関わっている人にも、それぞれの障害や生活状態を理解してもらい、協力を求めることも大切です。

(5)地域でネットワークをつくる
 災害も含めいざというときに頼りになるのが、向こう三軒両隣など身近な地域の人や自主防災組織です。日常的な地域のネットワークは、災害時には即時の援助ができますし、声のかけ合い、助け合い、励まし合いなど心の通じた援助関係ができます。 このように助け合える関係は、日頃のつき合いから始まります。
 常日頃から地域と人とのふれあいをもつように心がけ、自主防災組織のリーダーや隣 近所の人など特定の人に手助けしてくれるよう頼んでおきましょう。
 また、聴覚障害がある人は手話ができる人とのネットワークをつくるなど、必要とする支援に応じて、地域でネットワークをつくることに心がけます。

(6)友人・知人などとネットワークをつくる
 同じ障害があったり、自分の障害をよく判ってくれている人がいることは、いざと いう時に非常に心強いものです。できる限りこのような友人や知人を多くつくり、普段からコミュニケーションを大切にして、災害時の援助を頼んでおくことが必要です。
 また、災害が発生した場合は防災機関などを含む自分の住んでいるところの多くの人々が被災する可能性があります。その際には、被災地から離れたところからの援助が必要となります。このため、できる限り広い範囲で友人や知人を増やして、ネット ワークを広めておくことも大切です。

(7)障害者等関係団体のネットワークに加わる
 障害のある人や高齢者でつくっている団体やグループなどには防災に関係した情報が集まりますし、個人単位では声がとどきにくい要望や提案を集約し、行政に伝えることも できます。また、災害時には信頼できる支援者となりますし、ボランティアとのつな がりも団体などを通じてつくる機会がありますので、団体などへの参加も大切なこと です。

(8)関係機関の役割などを知る
 防災関係機関や医療機関などの災害時の役割や連絡方法などを事前に知っておく必要があります。どこの機関が何をするのかリストアップして、あらかじめ緊急連絡先一覧表を作っておくなど、スムーズに連絡を取れるようにしておくことが大切です。特に、主治医やかかりつけの医療機関などと連絡がとれるようしておきます。